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看護学部 大学の授業の様子を見たい
2024.10.23

【入試広報課Report】保育園での健康教育を実践~看護学部4年生「総合実習(小児看護)」の学び

所沢市の保育園。ホールに設置された小さなステージで、10名の学生たちが、ステージ側から幕が開くのを待っていた。マスクの下の表情の全てを読み取ることは出来ないが、その真剣な目から、緊張が伝わってくる。緊張を紛らわせようと、深呼吸する息遣いも聞こえてくる。

看護学部4年生の授業「総合実習」の一幕である。

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* 看護学部4年生「総合実習」

この授業では、看護学部4年生が、これまでに学んだ看護学の知識と技術を統合し、看護の意義と専門性、そしてチーム医療体制の中での看護職の役割と今後の課題への理解を深める。学生自ら、8つの看護専門領域の中から1つの領域を選択し、実習に臨む。

●小児看護学領域の「総合実習」の舞台は保育園

2024年10月1日(火)に取材したのは、小児看護学領域の「総合実習」。この日は、3つある実習施設のうちの一つ、所沢市にある「みどり保育園」で、2歳から5歳の園児たちに向けて健康教育を行う、本番の日であった。10名の学生は、5人ずつの2チームに分かれて健康教育のテーマを考え、実際にどのように園児たちに伝えるのかを、検討し準備を進めてきた。

●わかりやすく、伝える工夫

9月。学内の教室には、本番当日に向けて、黙々とプリンのイラストに色を塗っていく学生の姿があった。もう一人はアイスクリーム、他の一人はポテトチップス…。丁寧に、きれいに、そして黙々と作業する。
このグループが行うテーマは『ごはんを しっかりたべて、げんきなからだを つくろう』
「バランスの良い食事、ってどういう事かをわかりやすく伝えたい」
「苦手な物も食べられる様になってもらいたい」
「せめて苦手な物にも興味を持ってもらえるように…」という思いで、このテーマに至ったという。

どうしたら小さな園児たちに伝えることができるのか。

食べ物の可愛いイラストを準備したり、イラストの顔の表情が変化したりするなどの視覚的な表現を工夫した。また、リハーサルも複数回繰り返し、伝え方もギリギリまで検討していった。

●本番の幕が開き、いよいよ健康教育スタート!

園長先生の提案で、学生全員がマスクをとり、表情が分かる状態で健康教育が始まった。

一組目は、『ばいきんに まけない からだ』がテーマ。手洗い・うがいをし、ご飯をしっかり食べて、水分、睡眠をしっかり摂り、運動をすることの重要性を園児に伝える。

発表では、2人の登場人物が選んだ選択肢のうち、どちらが正しいかをクイズ形式で展開した。回答したくて勢いよく手を上げる園児たちに、学生が圧倒されてしまいそうになる場面もあったが、学生お手製の大きなマイクで園児の意見を聞くなど、会場が一体となる演出で園児たちを惹きつけた。

手洗いの方法を教える際には、園児が、学生の動作を真似しようと、一生懸命に可愛い手を動かす様子は微笑ましかった。

●大きな拍手と園児たちの笑顔

二組目のテーマは、『ごはんを しっかりたべて、げんきなからだを つくろう』

前述の、学内で準備を頑張っていた学生たちの出番である。見どころは、甘いものばかり食べて具合が悪そうな登場人物の顔が、バランス良くたべることで、元気な顔に変わる演出である。園児からは「かおがかわった~!」と元気な反応が返ってきた。園児を飽きさせずに、興味を持ってもらう工夫で、最後まで内容を伝えきった。

最後に、学生全員がステージに上がると、園長先生の号令の下、園児たちの「ありがとうございました」という元気な声と大きな拍手がホールに響いた。

●園長先生の話 ~笑顔だから伝わることがある~

終了後に、みどり保育園の上村澄恵園長にお話を伺った。

「今日は学生の皆さんにマスクをとって発表してもらいました。表情が見え、とても良かったと思います。子どもたちは表情を読み取ろうとするんです。子どもたちの元気に圧倒され、学生の皆さんは内心は困っていたかもしれないが、最後まで口角を上げて笑顔で発表してくれましたので、子どもたちにもよく伝わったのではないかと思います。」

筆者の目にも、学生が子どもたちの反応を拾いながら、終始、笑顔で、堂々と進められているように映った。入念な準備とリハーサルを重ねてきたからこそ、自信を持って挑めたのではないかと思う。この経験が、学生一人一人の看護専門職としての将来のキャリアへの展望を描く糧となることは間違いない。

 

(入試広報課 中川)

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2024年度 総合実習(小児看護)について

8つの看護専門領域の1つが『小児看護学領域』である。

看護学部4年生の授業「総合実習」の『小児看護学領域』の実習では、この記事にある「みどり保育園」で、子どもたちへの健康教育の準備・実施を通して、子どもの成長、発達の特長に合わせた関わり方を考える他、総合病院で周産期棟を見学し、周産期棟の役割や組織体制を学んだり、医療型障害児施設で実際に働く看護師と行動を共にし、仕事振りを見たり、その仕事に対する子どもの反応を観察したり、他部門との連携や協働を学んだりする。

実習を通して、看護専門職としての自己のキャリアへの将来展望を描くことにより、看護学生から専門職への役割移行をより円滑に進められるように支援することを目的としている。

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