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2024.03.29

【入試広報課Report】「埼玉魅力発信プロジェクト2023」が完結! ~サービス経営学部1年生が『埼玉物産観光フォーラム』で登壇し活動報告~

2024年2月15日(木)、埼玉県大宮市にあるソニックシティホール4階の国際会議室には、スタッフも含め200名以上もの人が集まっていた。この日開催されたのは『埼玉物産観光フォーラム』。埼玉県全域の経営力向上や稼ぐ観光地域づくりの推進のため、最新の地域観光ビジネスやDMO(観光地域づくり法人)戦略、インバウンド市場の分析などに関する公演、そして埼玉の新商品を表彰する「埼玉県新商品AWARD2023」授賞式などが行われた。

1年生に与えられた“失敗体験”の機会が、“成功体験”に繋がる

本学からは、サービス経営学部の中谷勇介教授と、本学サービス経営学部1年(当時)の田村涼さんが登壇し、2023年度の授業「総合演習Ⅰ」(1年次配当)の一環として立上げた『埼玉魅力発信プロジェクト』の活動報告を行った。中谷ゼミに所属する学生や授業を履修した1年生も当日の会場設営や運営のお手伝いにあたった。

「足が震えて、肩もカチコチだった・・・」と、田村さんは登壇時の様子を振り返る。

登壇前は、会場前方に座り、他の方の講演を聞いていたため、舞台に上がってはじめて、会場が人でいっぱいになっているのに気づき、緊張が増してしまった、との事だった。

 

さて、中谷教授は、どうして田村さんを『埼玉魅力発信プロジェクト』の発表者に選んだのか。

 

「田村君は、総合演習Ⅰという授業を1年間履修し、授業の中でも、しっかりとした発表をしていた学生です。2年生からは、中谷ゼミに入ることも決まっています。このような大きな舞台で発表する機会はなかなかないので、“失敗体験”をしてもらいたいと思いました。」

一方で、この体験を振り返り、田村さんは言う。

「自分にできるか心配だったけど、中谷先生に登壇者に選んでもらって、正直、嬉しかったです。活動報告が終わった後に中谷先生から“できんじゃん!”と言ってもらえたんですよ。本当に、やって良かったと思います。」

その表情を見ていると、田村さんにとって、この体験は“失敗体験”ではなく“成功体験“となり、自信につながったように映った。

さて、本学の『埼玉魅力発信プロジェクト』。その具体的な内容はどんなものなのだろうか。

映画『翔んで埼玉』続編で埼玉ブーム再来!?埼玉の魅力を発信するためにできることは?

本学のサービス経営学部で開講している体験・実習科目(いわゆるアクティブラーニング科目)に、「総合演習Ⅰ」がある。2023年度は、この授業の中で、埼玉県内の企業や本学と連携協定を締結している武蔵野銀行や埼玉県物産観光協会などと協力しながら、学生が物産や観光における「埼玉の魅力」を発掘し全国に発信していく『埼玉魅力発信プロジェクト』を立ち上げた。2023年度のテーマは、お茶。“狭山茶”は、本学がある狭山市が、そして、埼玉県が誇る物産品である。映画『翔んで埼玉』続編公開(2023年11月公開)で、埼玉県の注目度が上がると予想される中、学生達にできることは何か?

まずは、狭山茶を知る。お茶畑で茶摘みからスタート。

2023年5月。学生達の最初のフィールドワークの舞台は、埼玉県狭山市で江戸時代より続く茶農家、奥富園。15代目の奥富雅浩さんが営む現在も、家族経営で、畑から製造・仕上、小売までを一貫して行う『自園自製自販』のスタイルでお茶を丁寧に作っている。

奥富園の全面協力により、学生はまず、抹茶用の茶葉の手摘み体験をさせてもらった。

抹茶で使用する茶葉の場合、太陽の光を遮った状態で栽培される。そして、柔らかな新芽や葉の部分だけを丁寧に摘み取っていく。時間も労力もかかる根気のいる作業である。

茶葉を摘むと、鮮度が損なわれない様、すぐに製茶の作業に入らなければならない。奥富さんからは、「2023年は天気の影響で、茶葉の成長が早く、摘み取りと加工作業が絶え間なく続いている。睡眠不足だ。」という茶農家のリアルな話も、直接伺う事が出来た。

奥富さんはまた、幅広い世代にお茶を飲んでもらえるよう、試行錯誤している人であり、『萎凋(いちょう)』と言って、萎ませた葉が中で酸化酵素を活性化することで、花や果物のような香りを立たせるお茶も製造している。

学生は、美味しいお茶を戴きながら、農家の大変さを肌で感じることができた。

狭山茶は、育てて収穫、加工、そしてお客様へ売るまでを融合した産業形態をとっており、地域の重要な6次産業である。お茶を作るこだわりや大変な想いが消費者まで伝わり、付加価値を見出す。このようなサービス業までも含む6次産業のあり様を間近に体験する事は、サービス経営学部の学生にとって、学びが多い。

6月には、奥富さんに大学に来て頂き、緑茶をワイングラスで楽しんだり、狭山のブランド化された高級抹茶『明松(みょうしょう)』を点てる体験をしたりするなど、日本茶の楽しみ方に関するレクチャーをして頂いた。

“お茶自体を良く知る”、“茶農家の想いを知る”、そして、“産業としての「狭山茶」を理解する”ことは、学生達が狭山茶の魅力を見出し、全国へ発信するアイデアに繋げるための有益な経験となった。

いよいよ新商品の開発に挑む。若い世代のお茶消費拡大に繋ぐために。

狭山茶の講義の際、学生達は、奥富さんから、1つの宿題を出された。

―――若い人の狭山茶の消費拡大の為、具体的なものを提案してほしい―――

こうして6月から7月にかけての1カ月間、学生達は、商品開発のため試作品作りに取り組んだ。

・抹茶を練り込んだスコーンに川越の紫いものクリームを添えたもの
・抹茶を練り込んだ生地のどら焼き
・和紅茶に越生の柚子(ドライフルーツ)を入れたドリンク
・冷たい甘酒と緑茶粉末を合わせたドリンク

などなど、たくさんの試作品を“作っては試食” “作っては試食”を繰り返し行った。

試作品の中でも若年層に人気のスコーンを、衛生面や安全性を考慮し、狭山市の飲食店とコラボして商品化していくことになった。
ご協力頂けることになったのは、狭山市にある、おしゃれな焼き菓子屋さん『Kino』(キノ)
『Kino』の店主、長田さんに大学にお越し頂き、商品化を進める上で大事なことをレクチャーして頂いた。

 

今回の商品は『狭山茶と埼玉の名産を使ったスコーン』がテーマであり、学生達からは、「栗を入れたい」「紫いもを使いたい」など色々なアイデアが出された。しかし一方で、長田さんからは、商品化の上で大切なポイントの提示があった。

―――高い商品は買ってもらえない。商売は儲けを出さなければ成り立たない。―――

確かに、高級な抹茶をふんだんに使えば、香り高いスコーンが完成するであろう。ただ、商売としてはどうか。商品を売って利益を出すには、原価をどう抑えるかも重要なポイントになる。儲けが出て、かつ、抹茶を配合する時に、風味を落とさないギリギリのラインを探る必要がある。

“絶対にこだわる部分”と、“商売として成立させる採算性”の両方を考慮するという、サービス経営学部らしい問題に、リアルに向き合うことになった。

アクティブな学びから更なる社会との繋がりを生む

10月、学生達は、奥富園の計らいにより、『日本茶AWARD2023』の審査に関わる事が出来た。『日本茶AWARD』は、2023年で10年目を迎え、日本茶の新たな価値を見出し、多くの方に多種多様なお茶の美味しさや香りを伝えていくことを目的とした審査会であり、NPO法人日本茶インストラクター協会・日本茶AWARD 2023実行委員会・日本茶審査協議会の共催で行われている。

学生達は、お茶について学んでいるという立場で審査に参加させてもらえることになったのだ。NPO法人日本茶インストラクター協会のインストラクターさんたちがBUNRIに来てくれて、全国各地の20種類のお茶を、4段階(好きでない、あまり好きではない、好き、とても好き)で審査した。

また、別の日の授業では、県内で上位シェアを誇る地方銀行である武蔵野銀行の方に、武蔵野銀行が行う地域活性化への取り組みをレクチャーして頂いた。地域金融機関は、中小企業の資金繰り支援、事業の再生・再構築を支援する役割が求められる上、需要の掘り起こしも大事になってくる。武蔵野銀行では、県内の自治体等と協力しながら、小麦づくりからうどんやパンなどの小麦製品の製造販売までする6次産業を創造するなど、興味深い取り組みを行っている。

また、「IBUSHIGIN」(イブシギン)という埼玉県内の新商品や新サービスを応援するクラウドファンディングを、武蔵野銀行の子会社が運営している。企業が資金を募ると同時に、新商品を応援してくれるファンを作る場となっている。

狭山茶を使ったスコーンの商品化を進める学生達にとって、地域金融機関の話は、よりリアルに感じられたであろう。

このように、一つの授業から生まれた「埼玉魅力発信プロジェクト」は、学生達が社会と繋がり、そして社会の仕組みを知る鍵となっていった。

映画『翔んで埼玉』ならぬ、イベント『飲んで茶いたま』を企画・運営

このプロジェクトの集大成ともいえるイベントが、2023年12月9日に、さいたま市にある武蔵野銀行本店2階M’s SQUAREで開催された。その名も『飲んで茶いたま』(ちゃいたま)。映画『翔んで埼玉』にちなんで、1年生が命名したという。授業を通して様々な角度から検討してきた狭山茶の魅力を発信するイベントである。

中谷教授によると、大学の学びは“アウトプットする”“発信する”という所まで実践することが大事であるという。学生達は、このイベントで、どのように狭山茶の魅力を伝えるのか。

まずは、狭山市の焼き菓子屋『Kino』とコラボしたスコーンの販売である。最終的に、3種類のスコーンが生まれ、期間限定で販売された。イベント会場でのレイアウトも『Kino』にアイデアを頂き、おしゃれに飾り付けられた。

最終的に商品となったスコーンは以下の通り。(説明は、学生が作成した会場のポップに記載されたもの)

抹茶クリームと粒あんと栗のスコーン
奥富園さんの「明松」を使用した香り高いクリームに相性の良い粒あんと栗を合わせました。

紫芋のスイートポテトと抹茶のスコーン
奥富園さんの抹茶「明松」を使用したスコーンに川越産紫芋のスイートポテトをのせ、ホワイトチョコの甘さを足しました。

焙じ茶くるみこしあんのスコーン
奥富園さんの焙じ茶を煮出し使用したスコーンとくるみのアクセント、こしあんの甘さがぴったりです。

学生にとっては、これまでの努力が形になり、お客様の手に渡るその瞬間までを見届ける機会となった。

また、子どもたちにも興味を持ってもらいたい!と企画したのが、廃棄されるお茶を使用したインテリアボトルづくり、ストラックアウト、缶バッチづくりである。

インテリアボトルづくりは、小瓶に粉末の茶葉を摘め、ドライフラワーなどをあしらった飾りづくりである。使用する粉末状の茶葉は、お茶を製造する過程で、機械からこぼれ落ちてしまい廃棄するしかなかったものである。茶畑に行き、製造工程を自身の目で見てきた学生だからこそ思いついたアイデアではないだろうか。

ストラックアウトの的は、茶筒を利用している。そして、缶バッチづくりは、自分の好きな絵を書いたり、学生が描いた入間市のキャラクター“いるティー”に色塗りをして、缶バッジに加工できる体験型の企画である。

この他、会場では、奥富園による狭山抹茶「明松」の御点前体験や、若蒸し茶・深蒸し茶・焙じ茶・和紅茶の飲み比べ体験、埼玉県物産観光協会による埼玉の物産品販売ブースが設置された。

SNS等での発信も良いが、観光や物産にとって「体験価値」を提供することは重要である。今回の対面イベントでは、学生達が1年間で体験し、感じ、学んできたことを「体験」として伝える機会とすることができた。

アクティブな学びからマーケティングや経営学の必要性を実感し、更なる学びに繋ぐ

本学の「総合演習Ⅰ」という授業は、1年生から履修できるアクティブラーニング科目の1つである。1年生からこのように実社会に出て学ぶことで、自分の知識の無さや力の無さに気づくことができる。これは、とても重要な事である。学ぶ必要性を自覚し、その上で、大学内での座学に取り組むことで、得た知識が定着し、年々、より進化した自分に出会えるに違いない。

冒頭で紹介した『埼玉物産観光フォーラム』で登壇した1年生(当時)の田村さんは、今後の夢を話してくれた。彼は、全国展開しているスーパーでアルバイトしているが、店舗ごとの特色が出るよう、地場野菜やご当地の物産品を売る常設コーナーを提案していきたいと言う。2024年4月から2年生になり中谷ゼミでの活動を始める彼の、BUNRIでの学びが、多角的な視点を授け、社会に出ていくための糧となる事を信じている。

 

(入試広報課 中川)

 

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